はい、どうもこんにちは。
ブログも小説も毎日更新ってなかなか大変なんですよね。性質が違いますけどどちらも文字を書くメディアという点では同じです。
それでは本題。
作家志望の方が気になっているのはウェブと新人賞のどっち作家になりやすくて、なった後売れやすかってことだと思うんですよね。
結論としてはウェブの方が作家になりやすいし、なった後も売れやすいという結論です。
なぜそうなのでしょうか。
1つ目の理由 新人賞受賞作品の壊滅的な売上とウェブ産書籍の躍進
一昔前まではラノベ作家になるには新人賞を受賞する必要がありました。正確には受賞しなくても拾い上げがあったり、ゲームのシナリオライターからも転向もありましたが、ほとんどが何らかの賞を受賞して出版に漕ぎ着けています。
ですが、2013年頃から大幅に状況が変わります。
小説家になろうを筆頭とするウェブ小説作品がレーベルエース級の売上を連続して叩き出したんですよね。
当時は物珍しさやファンの買い支えがあったのか、書籍化すれば漏れなくオリコン入り。初動5000部売れるのが普通という異常事態でした。
今ではウェブの書籍化も落ち着いてきて、初動5000部も売れればレーベルの看板ですけどね。
しかし、ラノベ購入者の層が極端に広がったわけではありません。もちろん広まりはしましたけど、それほど読者層に違いはないでしょう。
読者の財布の奪い合いです。自由に使えるお金には限りがあります。
結果として数人の関係者に認められただけの作品よりも、何万人もの読者に認められた作品のほうが安心して買えるからか、それともなろう系という新ジャンル以外が受け入れられなくなったのかわかりませんが、新人賞受賞作品はほとんど売れなくなりました。
いえ、言い直します。
受賞作品かどうかは関係なく、企画出版(ウェブを通さない出版)作品全体が壊滅的売上になりました。
ウェブの書籍化作品は一時期ほど売れていませんが、最低限は売れています。
コミカライズ(漫画)との相性
ウェブ小説が台頭してから、急速にラノベのコミカライズ基準が下がっているのは肌で感じている方も多いと思います。
小説は読むの面倒だけど漫画なら……というニーズをきっちり押さえているんですね。
最近は絵や構成が上手い漫画家を起用することが多いように思います。
一昔前のラノベのコミカライズは新人漫画家の登竜門とされ、お世辞にも出来が良いと言える作品は少ない印象でした。
しかしこの漫画、なろう系作品以外の売上があまり芳しくないというのが実情です。
ラブコメや現代異能バトルなどの作品はそれほど注目が集まりません。
やはり異世界や、現代ファンタジーなどが強いんですよね。
これは、人気小説のコミカライズという要素に注目されているというよりも、なろう系小説が漫画とベストマッチしていたということだと考えています。
原作を読んでいない映画でも好きになりますよね。むしろ、映画の方が好みという方も少なくないでしょう。それと同じです。
なろう系小説のストーリーは漫画読者に刺さっている。
そして、漫画のストーリー展開速度は小説と比べてめちゃくちゃ遅いです。だから、漫画の続きが気になった読者が原作を買って読むという流れができています。
小説の何倍も市場がでかい漫画からの流入があるため、爆発的に売れるのです。
最近では人気のウェブ小説はコミカライズと書籍化がセットで企画されることも多いです。むしろ、コミカライズが目的で書籍化はオマケというパターンさえあるんです。
2つ目の理由 新人賞は待ち時間が長い ウェブの方が時間的コスパが良い
前項まででウェブ産の方が圧倒的に売れるという話をしました。どうせ作家になるなら売れたいですから、大事なことです。
でも、他にも大事なことがあるんですよ。
それは、新人賞は待ち時間が長いということです。
一冊分の分量を書いて小説賞に応募してから、結果が分かるまでには概ね半年かかります。実際は受賞の電話が来るとか来ないとかの話があるので察することはできますけど、公式が発表するのは半年後です。
MF文庫J ライトノベル新人賞とかだともうちょっと早いですけど、電撃小説大賞などはもっと長いですし、平均して半年とします。
この時間はずっとドキドキしますよね。
運良く受賞できればバンザイできるんですけど、その小説って応募してからもう半年経ってるんですよね。書いている期間を考えればもう少し。書籍が発売されるのはさらに半年後とか。
それって、作品の賞味期限過ぎてません?
どの時代でもウケるエンタメなんてないんですよ。エンタメっていうのはいかに早く提供するかが勝負なんです。自作と似た作品がヒットしたら、真似てなくてもパクリ扱いされますよね。
公募新人賞というのは前時代的なシステムをとっています。流行の作品以外でも受賞可能性があるなどそれなりに良い点もありますが、早く作家になり、ヒットしたいという作者にとっては微妙な気がします。
PDCAサイクルを意識する
ビジネス用語でPDCAというもがあるのはご存知だと思いますが、具体的な内容は知らないという方もいるでしょう。
ズバリ、「Plan=計画」「Do=実行」「Check=評価」「Action=改善」の4つです。
売れる作品を計画する。
実際にプロットを書き、本文を書く。
新人賞に応募して当落を確認。評価シートをもらう。
評価シートや結果から反省点を洗い出し、改善する。
当たり前過ぎることですが、これをPDCAと呼んでいます。
これを繰り返すことをPDCAサイクルというんですね。
しかしですね、公募新人賞では選考期間が長く、そもそも執筆にそれなりの時間がかかるためにサイクルのペースがめちゃくちゃ遅いんですよ。
ウェブの場合ならどうなるか見てみましょう
ウェブのPDCAサイクルが優れている
売れると思う作品を計画する
実際にプロットを書き、本文をある程度書く。書く文字数は三万字程度でいい。
ポイントがいくつつくか。どのくらいの期間でつくか。感想やレビューはどうなっているかの確認をする。
反省点を洗い出し、改善を試みる。改善しても効果が出なければ打ち切りにして、新作を始める。
こうなります。
プロットは十万字を想定する必要がありますが、そのプロットを全部本文に起こす必要はないんです。毎日投稿して三万字に到達してもランキングに打ち上がらない作品は、状況にもよりますが99%書籍化の見込みはありません。少なくともウェブの読者からは求められていない小説ということになります。
そこに時間を費やすのではなく、反省・改善して新作を出しましょう。
こうしてトライアンドエラーを何度も繰り返すことで、だんだんとウェブ読者が求めている作品というのが分かってきます。
狙ってランキング上位を取ることができるようになりますし、小説自体の技術もだんだんと精度が良いものになってきます。
どこかのタイミングでランキン上位を何日か維持できたらめでたく書籍化打診が来るでしょう。
十万字書かないと実力がつかないという誤解
稀によくある誤解。
一度か二度は十万字ほど書いてみて要領を掴むという作業は大切です。何事も経験ですし、練習がてらやってみる価値はあります。
ですが、十万字を十分に書ける作者が、人気の出なかった作品もしっかり一冊分書ききる必要があるのかというと、ありません。
人気が出なかった作品が十万字書いたら突如PVが増えて大人気に!なんて夢物語はないので、その辺は注意しましょう。
人気が出ない理由はタイトル・あらすじ・序盤のシナリオ・キャラ・世界観が下手だからです。これはすべて序盤3万字に詰め込まれているものなんです。
それが読者に受けいられないから、人気が出ない。
魔改造するならともかく書き続けたところで人気が出ることはありませんし、十万字書いたら上手くなるものでもありません。
終盤をうまくまとめる技術は短編で勉強すればいいんです。
コスパ重視で序盤を徹底的に鍛えましょう。
3つ目の理由 モチベーションが保てる
3つ目がいちばん大切かもしれませんね。
新人賞作家がモチベを保つのは忍耐が必要です。受賞するかどうか、もしかしたら一次選考すら落ちてしまうかもしれない小説を十万字書き上げて投稿し続ける必要があります。
孤独は辛いです。
ツイッターなどでワナビ仲間を募集するのも良いです。でも、それでも孤独なんですよね。5万字くらい書いた時点で「本当にこれでいいのか?」「自分の作品は面白いのか?」と不安になってきます。
不安に打ち勝って受賞するのはクールで格好いいかもしれませんが、わざわざ自分を追い込む必要なんてないんですよ。
受賞作品が発売して売上爆死したら、受賞はまぐれだったんだと悩みかねませんし。
その点ウェブはモチベ維持の点でも優れています
感想やレビューがもらえる
ある程度の人気が出てきたら、毎日のように感想が来るようになります。
たまにレビューをもらえることもあります。
生の読者からの声を聞けるというのは、モチベ維持に絶大な効果があります。人間の感情って不思議なものです。疲れて今日は更新やめよう……ってときでも感想を読んだらやる気がみなぎってきますよ。個人差はありますが。
読まれている実感は人間には必要だと思いました
客観的数字で求められているか求められていないか判断できる
数字は時として残酷なようですが、PV・ブックマーク数・評価数・感想数などから自作が読者から認められているのか、書籍化できる可能性があるのかというのがわかります。
でも、残酷なようで優しいのかな。
何十万字と書き続ける前に、打ち切りの判断を下すことができます。
ワナビにとって一番の不安は、面白いのかどうかわからないという点だと考えています。
数字により求められていないことがわかれば次に移れます。
はっきりとわかることが、人によってはモチベーション落ちる要因になるかもしれませんが、本気で作家を目指している人にはメリットになると思います。
ウェブも完璧ってわけじゃない
ここまウェブから書籍化することが新人賞受賞よりも優位で、だからウェブにしたほうがいいという論調で綴ってきました。
でも、優れているからと言ってウェブが完璧なわけじゃありません。
みなさんも知っているかと思いますが、ウェブ小説・ネット小説は世界観やシナリオが画一的になりがちで、そうしなければ人気がでないという点です。
しっかりとした知識と練習を積めば誰でも人気小説を書けるようになるのが、ウェブです。芸術家的素養は必要なく、職人的な技術だけでどうにでもなります。
それが面白くない、そんなのは作家じゃないという批判もあるでしょうし、正直書いていてもどうなのかなと思ったりはします。
スポーツ小説や青春小説は例外はあるにせよ基本的にまったく通用しません。
ジャンル・テーマが偏っています。
でも、私はそれに嫌悪感はありません。私自身がなろう系・異世界小説が好きだからですね。
どうしてもなろう系は嫌いだ。認めない!って方は書くのが苦痛でしょうし、数々のメリットを覆すほどのデメリットになると思います。
新人賞経由の作品でもヒット作は少数ながら出ていますし、そこに賭けるのも馬鹿な選択ではありません。新人賞作家は出版社から強力な保護を受けられますからね。(その代わり、複数社から同時に出版しまくるという手は使えませんが)
まとめ
- ウェブ産のライトノベルのほうが売れている
- ウェブは時間的優位性がある
- ウェブはモチベーションを保ちやすい
- ウェブにもデメリットはある。嫌悪感は拭えない
今回の以上です。
最後までお読みいただきありがとうござました!
作者・作家向けの記事はこれからも継続して書いていく予定です。